日本の伝統色

2011/8/8

信州に暮らす私は、一時季だけ現れる、とても楽しみにしている色が 二つあります。

一つは、会社から見る西側の里山上空の雲の色。
陽が沈み暗くなりかけた時に、突如として現れます。
これは、社屋移転してからの、思わぬ発見でした。

私は、色の仕事をする上での基本である、
グレートーンの分析力を鍛える方法の一つとして、雲の色はよく観察してきました。
雲は、様々なグレーを見せてくれますので、
それを観察して、「C・M・Yそれぞれ何%でこのグレーは印刷で出せるか」 と、若い頃からトレーニングをして来ました。
まあ、そんな習慣もあり、いつもの様に雲を眺めていたら、
見つけてしまったんです!
色の表現に関しては長けてるつもりの私ですが、
簡単には表現しようがない色なんです。
表現方法を色々と考えたところ、日本の伝統色で表現するのが、最も当てはまりました。
陽が沈んで暗くなっていく、ほんの数分間の奇跡に近い色がこれです。

灰桜(はいざくら)だった雲が、
段々、鴇色(ときいろ)になり、
空一面が、浅耕(うすあけ)に輝く。

この色は、六月下旬、十日間位の、気象条件が一致した時にだけ見ることが出来ます。
※夕焼けの色とは全く違う色ですので、あしからず・・・・

もう一つは、中央アルプスのほぼ頂上、千畳敷から見上げる空の青色。
「そんな青色、どこでも見れるじゃねーか!」って?
「いやいや、一月の厳冬、標高約三千メートルから見上げた空の色です!」

紺青(こんじょう)
という伝統色がぴったりです。
吸い込まれそうな深〜い青色で、(青という表現では言い尽くせない色ですが・・)
宇宙を感じる事ができます。

ここは、ロープウエーで行く事ができますが、晴天であるという事が条件ですので、やはり、一年に一回程度のチャンスしかありません。

他にも、千代田湖畔周辺の紅葉も特出すべき色合いです。
猩々緋(しょうじょうひ)・深緋(こきひ)・刈安(かりやす)が、
ピーンと張りつめた空気の中で乱舞しています。

なんて減法混色の色はすばらしいんだろう!

日本の伝統色の見本帳を、改めて見ましたが、実に感慨深い。
由来なんかも記載されていて、読んでいるだけでおもしろい。
惜しむべきは、デザイナーを自称している多くの者達が、これに関心がない事。
モニター命の加法混色世代という事になるのか・・・・

最近は、パントーン指定が多くなっているが、
本当に色の事が解ってるのか? と疑問に感じます。
パントーン見本帳を見る限り、汚い濁りを施していて、全く心は動きません。
日本人は、欧米人とは眼が違うんです・・・・眼が!
日本の伝統色は激シブです。
濁りも洗練されていて、まさに、侘・寂 を感じます。

日本の伝統色ってどんな色? と、興味を持たれた方、決してWEBで探さないで下さい。
加法混色ですので、全く異なる色が出てきますから。
印刷に関わる者達が、決して疎かにしてはならない
「日本の伝統色」。。。
廃れることのないよう、追究し続けて行きたいと思います。



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