在庫ゼロ×ミスゼロを実現!毎日の契約書類発送をデジタル化することで一気に解消した業務改革ストーリー


ある大手通信事業者は、自社のサービスを契約する顧客に対し、契約内容に合わせた書類をタイムリーに送付するという重要な業務を抱えていました。日々発生する新規契約に対応するため、担当部署は印刷委託業者と連携して書類を作成し、迅速な配送を求められていました。しかし、このプロセスにはいくつもの課題が潜んでおり、担当者たちの苦労にもかかわらず。ミスや遅延を発生させていました。


検討の背景:書類発送の煩雑さとリスク

契約書類は顧客ごとに複数枚存在し、これを人手でピックアップして封入・送付する必要がありました。そのため、どうしても「AさんとBさんの書類を取り違えて送付する」「担当部署の作業フローが混乱し、送付が遅れる」などのトラブルが後を絶ちませんでした。さらに、書類の台紙在庫を大量に抱える中で、サービス内容が変わるたびに廃棄コストがかさみ、会社としては大きな損失を生んでいました。


課題:正確性の欠如と在庫コストの問題

  • 内容相違:人手作業による書類の取り違えや、契約内容に合わない文書送付など、顧客満足度や会社の信頼を損なうリスクがあった。
  • 作業効率の低下:契約処理〜生産指示までの工程が複雑化し、時期や繁忙期によっては手続きを見落とし、書類が送付されないこともあった。
  • 在庫コストの増大:サービス内容の変更があるたびに台紙を作り直し、旧在庫を廃棄するというムダが発生していた。

こうした問題が重なった結果、「正確に、速く、コストを抑えて送りたい」という理想と現実のギャップが大きくなっていました。


目的:リスク排除・効率向上・コスト削減

上記課題解決に向けて設定したにおは、以下の明確な3つのゴールでした。

  1. 内容間違いをなくす:顧客ごとに間違いのない書類を送付し、リスクを排除する。
  2. 生産指示を簡単にする:印刷委託業者へデータをスムーズに引き渡し、作業効率を高める。
  3. コスト削減:在庫を抱えない仕組みをつくり、必要なタイミングで必要な分だけ印刷し、廃棄コストを抑える。

この改善を成功させることで、顧客満足度はもちろん、社内のオペレーション全体の安定性と効率を高めたいという狙いがありました。


提案内容:デジタル化による一元管理とオンデマンド印刷

そこで弊社は、「デジタル化」と「専用プログラム開発」による改革を提案いたしました。全体としてアナログな手作業に依存していた点を抜本的に見直し、リスクを最小限に抑えることを目指しました。

  1. 書類を一括PDF化
    契約者ごとに必要な書類を、データ生成の時点で1つのPDFとしてまとめる。さらに、印刷時に冊子状の形になるように中綴じ仕様を導入。これによって書類が混ざり合うリスクを削減し、抜け漏れや取り違いを防止した。
  2. 専用プログラムの構築とアップロード方式の変更
    クライアント側の抽出データに合わせたプログラムを新たに開発。クライアント側は面倒な加工作業をする必要がなく、クラウドサーバーにアップロードするだけで印刷指示が完了する仕組みをつくった。メール添付や物理媒体でのやり取りをなくすことで、タイムラグや誤作業が大幅に軽減された。
  3. デジタル印刷への移行
    従来のオフセット印刷や台紙在庫を常に抱える方式を廃止し、必要なタイミングに必要な分だけ印刷できるオンデマンドのデジタル印刷を採用した。これにより、サービス内容の変更時にもすぐに書類データを更新し、在庫を処分する手間とコストを削減できるようになった。

結果:正確さとスピード、そしてコストダウンを同時に実現

これらの取り組みにより、契約書の誤送付はほぼゼロにまで改善し、顧客からのクレームも大幅に減少しました。生産指示のプロセスがシンプルになったことで、担当部署と印刷委託業者の間で生じていたコミュニケーションロスも削減することができ、大幅な業務効率化が実現しました。
さらに、デジタル印刷への切り替えによって台紙の大量在庫が不要となり、ムダな廃棄コストが解消されたことも大きなポイントの一つです。必要に応じて柔軟に書類内容を更新できるため、サービス変更に追随するスピードも格段に速くなり、ビジネス成長を加速させることが出来ています。


まとめ:持続的な改善と将来への展望

契約書類の発送という、見落とされがちな業務でも、アナログな作業を洗い出しシステム化することで、大きな効率化とコスト削減につながることを証明することができました。今後、さらなるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み、他の部門にも同様の仕組みを展開する計画を進めています。
今回の業務改善が、契約書の取り違えなどのリスクを未然に防ぎ、顧客満足度を高めるだけでなく、企業としての競争力と柔軟性をさらに高める原動力となれば幸いです。